あやメリーです。
毎年この時期になると思い出すフライトがあります。
3月の終わりに、国内線で離島へフライトした時の話。
離島からの折り返し便の出発準備をしていると、
出発ロビーで、乗客と見送りの方々が別れを惜しんでいるのが見えました。
見送られる一人の女性客が、ロビーで花束を抱えて
見送りの集団に囲まれています。
ターミナルビルの送迎デッキを見ると、横断幕まで張られています。
その空港はとても小さなローカル空港で、機内からも出発ロビーの様子がよく見えます。
横断幕には
『●●先生、ありがとう。お元気で!』 と大きく書かれてありました。
地上スタッフに聞いてみると、警察官や教員などの公務員が
離島での勤務を終えて本土へ戻る(転勤)時期なのだそうです。
屋上に張られた横断幕のそばで、一人の男性がメガホンを使って何かを叫んでいます。
よ~く聞いてみると、叫んでいるのではなくて、歌っていました。
『星影のワルツ』 (BY 千 昌夫) でした。 (ちょっと古い)
そして、搭乗案内が始まりました。
メガホンの男性は飛行機に向かってまだ歌っています。
♪別れ~るこ~と~は、つらい~け~ど~♪
●●先生と思われる女性が、花束を抱えてタラップを上ってきました。
タラップの途中で何度も振り返っては送迎デッキの見送りの人々に手を振っています。
搭乗が完了し、ドアを閉める時がきました。
すると、デッキにいるメガホン男子が歌を止めて叫んだのです。
『最後に伝えたいことがあるーー!
俺は●●先生のことがずっと好きだった―!
今度生まれ変わったら、絶対、一緒になろうなー!』
ドアを閉めようとしていた私。 思わず手が止まりました。
え?・・・そうなの?!
生まれ変わってからでいいの?!
あきらめるの?!
機内で座席に座っている先生を見ると、
花束をぎゅっと抱えて、号泣しています。
・・・ドア閉めていいの? 今ならまだ降りられるよ!
メガホン男子、まだ叫んでいます。
『好きだー!』私、このままドアを閉めてはいけない気がしました。
でも、ドア操作に入ったら、操作を中断することはあまりよくありません。
しばらく先生の様子を見ながら、ドア閉めていいの?と念を送ったのですが
先生が席を立つことはありませんでした。
私まで、ドアハンドルを握りながら涙が溢れ出てきました。
泣きながらエントランスドアを閉めたのはあの時だけです。
毎年、桜が咲き始めると思い出す、
ちょっと切ないフライトのお話でした。
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